ムーンライダーズ『アマチュア・アカデミー』

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ムーンライダーズで最初に買った作品がこれ。3年前にビートニクスの1stが出ているので、その絡みで手を伸ばしたんだと思います。千葉の駅ビルで購入しました。

最初に聴いた印象はアノニマスなものでした。矢野顕子が当時言っていたようにメンバー6人の声が似ていて、誰が誰かは区別がつかない。各々の個性を知るのは次作以降になりますが、当時は左程情報もなく、かつ本作は外部プロデューサーの起用で音にも統一感があってなかなかそこまでは思いが至りませんでした。しかしこの聴きやすさが周囲にも理解者を生んだというキャリア上希有なパターンの作品です。

一番好きなのは「G.o.a.P.」で今もそれは余り変わりません。ただ、白眉はシングル「M.I.J.」B面の「GYM」で、本編には未収録。この20周年版にはボーナスディスクで収録されていますが、こんなにポップな曲を外してしまうという捻くれ方。このあたりもライダーズならではですね。

曲名はすべて記号になっていて一見するとよく分かりませんが、とっても聴きやすくていいアルバムだと思います。YMOの『テクノデリック』や細野晴臣の『フィルハーモニー』等で世に出ていたサンプリング手法をごく自然な形で楽曲に取り入れている点はまるでお手本のようなもの。象徴的なのは「BLDG」だと思いますが、この洗練は他の追随を許さないと断言しておきます。