スティーリー・ダン『Can't Buy A Thrill』

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72年リリースの1st。1stはどのアーティストもそれまでの活動の集大成になるので力作が多いと言われますが、かくいうスティーリー・ダンも例外ではなく、非常に充実した作品に仕上がっています。ジャケットにびっくりして遡って聴く人には一瞬のたじろぎを与えますが、内容はラテン風味も混ざったカラッとしたテイストで、かつこの時期にしては恐ろしく成熟し切っている。楽曲の粒もいい。初作にしてほぼ傑作でしょう。

一番好きなのは「Only A Fool」で何度も聴きました。この短いながらも洒落の聴いたカッコいい曲はラジオでもよくかかりますし、魅せられている人が多い楽曲なんじゃないかと思います。転調の箇所なんか鳥肌モノです。

全般的にその後のスティーリー・ダンを予見しているクオリティの高い曲ばかりで、「本当に1st?」と思ってしまう程の作品群です。登場は恐らく衝撃的だったのではないか。あるいは渋過ぎてスルーされていたかのどちらかですね。