奧田民生『29』

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奥田民生の作品にはハレとケが同居している感があります。どの作品もテンションMAXで全編を突き通すのではなく、インターバルが存在している。敢えてそのようにしているのかどうかは不明ですが、この1stもそうした感が強い。

キャリアを通して皮肉にも最大のセールスを記録している1stシングル「愛のために」が収録されているのも影響しているかもしれませんが、思い切り気合いを抜いた冒頭の「674」から始まって中盤に「息子」や「愛のために」といったシングル曲を配して間を緩やかに休みながら繋いでいく流れ。こうした構成はしばらく続いていると思います。

そんな中でも「愛する人よ」で歌われる「とぼけている顔で実はがんばっている」というメッセージは実は輝かしいスタイルを表明していて、時代と世代を代表するスタンスだと考えています。とても影響を受けました。