ムーンライダーズ『Dream Materializer PLUS』

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最後は映像集です。『ANIMAL INDEX』発売時にビデオ化された映像に、『Don't Trust Over Thirty』時のテレビ出演映像、かつ10年飛んで20周年の際に岩井俊二監督で制作された「ニットキャップマン」をモチーフにした短編映像を追加した豪華版です。

まずは『Dream Materializer』ですが、こちらはVHSで持っていました。映像は当時のテントの中でのコンサートの模様も含んだものですが、これは観に行った記憶があります。ムーンライダーズの最初のライブ体験がこれでしたので、何て変わった趣向のコンサートなんだと困惑しました。映像にはスタジオライブの模様も組み合わされていますが、鈴木慶一はまるでアンディ・パートリッジのようです。これは恐らく「Senses Working Overtime」のPVを参考にしているんでしょうね。

TV出演時の映像は貴重です。12人編成のスーパームーンライダーズのもので、若き日の野宮真貴がコーラスで参加しています。その後ライブ演奏を封印した「何だ、このユーウツは!!」がライブで観れるというのは恐らくこれきりでしょう。この時期の音源は是非アーカイヴシリーズで作品化してもらいたい。演奏は人数が多いだけあって厚みのあるものです。

『毛ぼうし』はレンタルビデオで借りて観た記憶がありますが、基本的には小津安次郎風のモノクロ映像です。当時岩井俊二ムーンライダーズのメンバー撮影の際に「動いている」と感動したと語っていましたが、それくらいムーンライダーズというのは生ける伝説的な存在だったんでしょう。大滝詠一のようなものですね。ここ最近新作のプロモーションで岩井俊二の映画が頻繁に放送されていますが、ヒリヒリとした質感や日常をさりげなく描く手法に長けている監督なので、本作も構築型とはいえ左程わざとらしくなく表現されていて微笑ましい。糸井重里が主役となっていますが、細野晴臣がよく言う昭和の時代の生活感がよく出ていて、のんびりした素敵な時代だったんだなあと感慨を覚えました。

たっぷりと丁寧に再発された今回の仕事は非常に評価できるもので、まさに永久保存版のボックスとなりました。制作された方に深く感謝します。