キリンジ『Fine』

f:id:tyunne:20181117062424j:plain

世紀が変わって4作目。前作での成功を踏まえてここから少し渋くなります。半ば意図的に地味にしている感もありますが、シングルカットされた「雨は毛布のように」では熱烈なファンだというaikoがコーラスで参加しています。キリンジはミュージシャンの支持者が当時から多くて、J-WAVEのとある番組でも様々なゲストがリクエストするような有様です。

冒頭の「ムラサキ・サンセット」こそ初期の弾ける感覚がまだ残っていますが、収録曲の大半は自らのイメージを覆すような地味なもので、これはパブリック・イメージに対するささやかな反抗と見るべきでしょう。

楽曲自体は本作と次作には左程聴き込んだ覚えもないので印象に残っていないんですが、だからこその魅力がまだ隠れていてこれから掘り込み甲斐がある、とも言えます。ジャケットにある静物画が象徴的に表現している佇まいを体現したような渋い作品。ここから入ることはお薦めしませんが、他の作品を聴いた後ならその魅力は長持ちすることでしょう。