ピチカート・ファイヴ『HAPPY END OF THE WORLD』

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この作品はリミックスアルバムだと思います。共同プロデューサーに福富幸宏を迎えていることもありますが、当時のシングル曲等がそのままのバージョンで収められることはなく、ほとんどにリミックスが施されている。この辺りがやはり捻くれていますが、これもピチカート・ファイヴの常套手段。

誠に勿体ない感じもしますが、こうした手法は中田ヤスタカがプロデュースしているPerfume等にも引き継がれていて、ハウス・テクノ系のアーティストには当たり前のことなのかもしれません。従って、ファンはアルバムとは別にシングルをフォローしないと全体像が分からないという形となり、より出費がかさむというジレンマに陥ります。

大滝詠一に言わせればむしろそれが当然で、そもそもがアルバム単位で作品を発表するという文化自体が『サージェント・ペパーズ』以降の短い歴史しかない。その前はアルバムなんてものはシングルの集積で売れたアーティストしか発表が許されていなかった、ということですので、仮にアルバムを出すとしてもミックスを変えるのは当然である、とそんな話なんですが、それとこれとは少し違うようにも思います。本作では「敢えて」やってるんですよね、きっと。少しくどいです。