ピチカート・ファイヴ『ボサ・ノヴァ2001』

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共同プロデューサーに小山田圭吾を招いたという点に当時は驚きました。まだコーネリアスとして活動を始める前で、しかも当時の若手に身を委ねるという手法はムーンライダーズが98年に『月面讃歌』でも採用しましたが、とても勇気のある選択であったように思います。というより端的にノリの問題かな。センスが良ければ若手だろうが何だろうが関係ない。そんな鼻っ柱の強い表情が容易に想像できます。

内容は完全無欠のポップス。しかも編集されたポップスで正統派というよりフェイク。この辺りの本物なのに偽物感が漂う姿勢に旧来派からは苦言を呈され、それに生意気に応酬していくというのが当時の渋谷系に対する自分のイメージです。

最も好きな曲は「ハレルヤ・ハレクリシュナ」です。エクササイズみたいなイントロからリズムに入っていく導入部のセンスは尋常ではなくて、小山田圭吾の生来のポップス感が爆発している名曲だと思います。そして次作の『オーヴァードーズ』で活動は頂点を極めた。その直前の沸点一歩手前の傑作だと思います。良く聴いたアルバムです。