10cc『Deceptive Bends』

f:id:tyunne:20181117085233j:plain

ゴドリー&クリーム脱退後の77年リリース作品。非常に頑張っている作品という印象です。これ以前のアルバムに比べて聴く機会は少ないですし、これ以降のアルバムには手を出していないのでどうしても印象が薄くなりがちです。ただ、リードトラックの「愛ゆえに」は本当にいい曲だと思いますし、全体的に漂っているプラスティックなポップ感は凡百のビートルズフォロワーとは一線を画しています。

甘めの楽曲というよりは王道から少しずらしてギリギリロックのグルーヴを保持している一生懸命感が伝わってきて微笑ましい。前作までの構築感は当然ながら後退していますが、その分ラフになった感じがします。「Good Morning Judge」も軽快でいい曲ですよね。ラストの組曲での中盤の間奏なんかは「I'm Monday Fly Me」のような10ccならではのノリがあって結構いいんですよ。

これが10ccかと言われるとやっぱり5ccです、と答えたくなってしまう悲しさはありますが、分裂後の存在感を気合いでものにした秀逸なポップアルバムとして楽しめる必要十分な作品であると思っています。