ユートピアで一番有名なのはこのアルバムかもしれません。全編ビートルズのパロディ。『Faithful』でも「Rain」や「Strawberry Fields Forever」を完コピしていたトッド・ラングレンですが、ここではビートルズのエッセンスを吸収してオリジナルの楽曲に仕立て上げています。
ラトルズとの明確な違いはオリジナリティが高いこと。ラトルズがあからさまなパロディで若干メロディに弱さを感じるのに比べて、元々トッドが持っているメロディメーカーとしての資質を活かしてあくまでオリジナルとして聴かせて、かつビートルズの匂いを全面的に漂わす、という結構な離れ業を行っていて、好感が持てるし楽曲としても魅力のあるものになっている。後から元ネタを聴いてもいい、というかビートルズマニアでなくても楽しめるという作品です。
部分的にビートルズのエッセンスを引用する楽曲は他に数多あれど、全編でかつ企画ものでこうした作品を制作するのはなかなかプライドが許さなかったり、やったとしても下品になってしまうことで成功しなかったりしますが、これはお見事。結構スレスレの部分もあったりはしますが・・。
一番好きなのはやはりラストの「Everybody Else Is Wrong」です。上手だなあ、と思いました。しかしよくこんなことやったなあ、と感心すると同時にちょっと笑ってしまいます。
