トッド・ラングレン『The Ever Popular Tortured Artist Efect』

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ベアズヴィル最後の82年リリース作品。LPではA面にあたる前半4曲が最高です。非常にポップかつ繊細な音で、電子音のみならずアコースティックギターの響きがとても心地良い。かつメロディもよく練られていて、リフがとても印象的です。元祖宅録のアーティストとしての本領発揮。サラッとこうした作品を作れてしまうのはやはり天才的と表現するしかないでしょう。

トッド・ラングレンのピークはやはり70年代にあったと思いますし、このアルバムにも左程のコンセプトは感じられない。ただ、こうした単純にいい曲をコンスタントに出していくという活動自体にご本人が納得されないのも明らかで、次作の『ア・カペラ』では声を素材にした作品、その後はインタラクティヴ・ミュージックと銘打ってインターネットに手を出す等、コンセプト主体で楽曲置き去りのような活動を繰り返しながら失速していく。

トッド・ラングレンの大きな魅力であるメロディの良さと歌のうまさ、非常にベーシックな魅力を持っているにも関わらずそうした活動に手を染めていくのはもう手癖、というか生き方に近くて、最早一般人には口が出せない領域にたどり着いてしまっています。とても勿体ないですが、そういう人なので仕方ないし、その振れ幅を聴く側は黙って見つめていくしかない訳ですね。