はちみつぱい『Re: Again Billboard Sessions 2016』

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はちみつぱいの楽曲を初めて聴いたのはムーンライダーズの10周年記念コンサートの映像だったと思います。「塀の上で」が唐突に演奏されたんですが、当時まだ駆け出しのファンでしたので、「この渋い曲は一体何だ?」と気になって仕方ありませんでした。その後、『センチメンタル通り』を聴き、かつライダーズの『The Worst of Moonriders』に収録された「こうもりが飛ぶ頃」を聴いて、その魅力にやられてしまいました。

はちみつぱいは88年に一度復活していますが、今回はそこからも28年も経った上での再集結。きっかけは恐らく鈴木慶一の活動45周年ライブだと思いますが、武川雅寛が病気から復活したことも大きな要因となっているのではないかと推測します。かしぶち哲郎の死後、最早時間はそんなに残されていないことを改めて感じたのではないでしょうか。

88年の再結成時と異なり、今回の再集結の音はとても自然で渋く感じられます。年月を重ねてこの年齢でしか出せないような味のある重厚な演奏を聴かせてくれています。ドラムにかしぶち哲郎の息子、橿渕太久磨が参加してかつ父の楽曲「釣り糸」を歌うという感涙ものの演出もあり、まさに世代を超えたヴィンテージバンドとして伝説を更新しています。

一番気に入ったのは「土手の向こうに」ですね。元々いい曲ですが、このノスタルジックでかつ爽やかな曲が年月を経て再発見されているように感じます。ライブでの演奏も左程多くなかった曲ですので新鮮味もあるのかもしれません。

「こうもりが飛ぶ頃」は本編とディスクユニオンの特典ディスク、そしてこのためだけに復刊した『ロック画報』の付属CDの3枚でそれぞれ味わうことが出来ます。意外と特典ディスクの演奏がいい。元々楽器のチューニングから始まるという不思議な導入部を持つ曲ですが、音楽が現場から立ち上がって来るような雰囲気はいつ聴いてもスリリングです。

どうも10月にライブ映像とドキュメンタリーを収めたDVDがリリースされるようです。やはり映像版が来たか・・。お財布が心配ですが、きっちりパッケージしてくれることはやはり喜ばしい。期待して待つこととします。