先週行ったワールドハピネスが既に遠い昔のように感じられますが、ずっと観ていなかったライブ映像作品をやっと観ました。まるで先週の復習をしているかのようです。
ステージ構成はワールドハピネスとほぼ同じ。演出もこの頃に出来上がっています。基本は黒が基調なんですね。オープニングの演出もほぼ一緒でしたが、意外とこれがカッコいい。期待感をそそらせる登場の仕方だと思います。
フルアルバムを制作してそこからの楽曲を演奏することで勢いが出て、このバンド自体が持つ熱気のようなものが創出されてきていると思います。元々は過去の楽曲を現代風にアップデートするというコンセプトでスタートしたユニットが、そのエッセンスを元に進化した。なかなかないパターンの活動だと思います。ノスタルジーに埋もれていない。
ワールドハピネスで観た時は、そのビートの力強さが印象に残りましたが、こうしてフルステージを観てみると、むしろ立ち上がって来るのは叙情性の方でした。高橋幸宏が本来持っているセンチメンタルな楽曲の雰囲気が全体を覆っているような気がします。ですのでラスト近くの「Threads」なんかが非常に印象深く聴こえてくる。アッパーな曲よりもこうしたメロディアスな曲の方が前面化してくる。これは不思議な感覚でした。
音楽は過去のアーティストが作り上げたものからバトンを受け取って、少しだけ自分のエッセンスを振りかけて次に渡していくようなもの。細野晴臣はそのように自分の活動を表現していましたが、高橋幸宏の場合も同様で、かつ自分の打ち立てたものをメンバーを替えて自分で継承していっている。これは希有な活動形態だと思います。