ジェイムス・テイラー『In The Pocket』

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ジェイムス・テイラーという人はどのアルバムを聴いても同じ質感で高値安定の株のような存在です。悪くいえば金太郎飴ですが、どれを聴いてもいいとも言えます。この作品は76年リリース。豪華ゲストを迎えた割には落ち着いた印象のあるアルバムです。

LPでいうB面の方が秀逸。「Woman's Gotta Have It」はボビー・ウォマックのカバーだそうですが、アレンジが洒落ていてとても良い。「Don't Be Sad 'Cause Your Sun Is Down」はスティヴィー・ワンダーとの共作曲ですが、目立たせ方も穏やかで、むしろ「Family Man」のニューオーリンズアレンジの方がインパクトを残します。

ジェイムス・テイラーの場合、物腰は穏やかなんですが実は芯がしっかりしていて、しかもそこそこ売れ線なもんだから豪華ゲストもその統一カラーの前に霞んでしまうというのがあるのかもしれませんね。周囲からの尊敬もあるでしょうし、頑に変えない要素も本人は拘っていそうですので、それが冒頭のような印象を残しているように感じます。

どれ聴いてもいいなんて普通はあり得ないですよ。そういう意味でも貴重なアーティストだと思います。