はっぴいえんど『はっぴいえんど』

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はっぴいえんどの1stは最初聴いた時の印象が地味で、その魅力に気付くのに随分と時間がかかりました。この作品がリアルタイムで出た時の衝撃というのは後追いの自分には知る由もなく、また松本隆の詩人としての佇まいや若気の至りで繰り出される青臭い雰囲気、60年代後期のカウンター・カルチャーの雰囲気といったものに何となく抵抗感があって、素直に楽曲に入り込む余地をなくしてしまう。それでも「春よ来い」の日本語歌詞の異常さはインパクトがあって、その暗さと共に印象的な歌唱法が耳にこびりついていた。

1stシングルが「12月の雨の日」というのも今ではびっくりする事実で、何故にこんな地味な曲が?と思ってしまいます。この曲の魅力はむしろスピッツのカバーが教えてくれたように思います。鈴木茂のイントロでのソロがその後を決定づけた楽曲ですね。

伝説化する程素晴らしい作品ではないと思いますが、それでも当時の粋が詰まっている。そんな作品なので聴き返す機会が『風街ろまん』や『HAPPY END』に比べてどうしても少なくなる。自分にとってはそんな作品です。