細野晴臣『HOSONO HOUSE』

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細野晴臣が世紀を超えてこの1stアルバムの曲をライブで演奏する日がやってくるなんて、最初に聴いた時には夢にも思いませんでした。ひとつのルーツ・ミュージックであり、細野晴臣の印象を決定づけたアルバムで、その後の変貌も含めて原点といえる作品。和製ジェームス・テイラーのような低い歌声が奏でる旋律は、その後幾人のミュージシャンにカバーされたことか。しかし最も有名なのは矢野顕子ということになるでしょう。

録音当時にご本人も言っていたように、自分も最初は「薔薇と野獣」の魅力の虜になりました。この曲に限らず全体的に言えるのは林立夫のドラムが物凄くカッコいいということ。「冬越え」「僕は一寸」なんかでも本当に素晴らしい音を聴かせてくれています。

「恋は桃色」を名曲として挙げる人が多いですが、スルメのような曲なので一聴しただけではその魅力は伝わらないと思います。その位渋いアルバムで、かつ賞味期限が長い。収録時間は30分足らずという濃縮された作品でもあります。小坂忠の『ほうろう』のように本人の発言通りご自身での再録が実現すれば本当に完璧な作品となることでしょう。