細野晴臣『S-F-X』

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YMO散開後の次の一手として差し出されたこのアルバムを皮切りに、細野晴臣はその後しばらく続くOTT、Over The Top、すなわち過剰な音楽を標語として掲げながら急速に回転していき、そして息絶えるという顛末を辿ります。この時期の音楽性に疑問を呈する向きも多く、実際FOE等にはかなり問題はあったと思いますが、出発点の本作についてはバランスのとれた良い作品に仕上がっていると思います。

84年のリリースということは前作の『フィルハーモニー』から2年しか経っていない訳ですね。もう少し間が空いているかと思いましたが、その間にYMOの散開があったということで、大きな一仕事をやり遂げた後だった。もう少し休んでも良かったんじゃないかと思いますが、そのツケが出て最終的にはご本人の怪我で活動休止を招いてしまったのかもしれません。

「ボディ・スナッチャーズ」は後にカントリーとして復活します。「アンドロジーナ」「ストレンジ・ラヴ」といった何度聴いても味わいのあるカッコいい曲も納められていて、色褪せない作品かなと思います。