LOVE, PEACE & TRANCE『LOVE, PEACE & TRANCE』

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このアルバムが出たのが95年初頭。今から20年以上前な訳ですが、『メディスン・コンピレーション』でこりごりしていた身にとって、アンビエントをコンセプトにした作品には手が伸びませんでした。一瞬、女性アーティストとのコラボレーションでポップな作品のように見えるんですが、それは売り方の問題であって、内容とは一切関係ない。これに騙されて手にとってしまった人は、大分内容に混乱したんじゃないかと思います。それ位ディープな作品です。

20年以上経ってやっとまともに聴きましたが、正直言って悪くはないと思います。繰り返し聴くものではないですが、当時の細野晴臣があらゆるものから逃げようとしていた、そういった逃避感覚が当時のインタビューからも感じられますし、何といってもYMO再結成直後、という時期なので、ほとほとメディアへの露出に疲れ切った、あるいは周囲からの期待に絶望した後の行動としてアンビエントに救いを求めた時期の作品だったと言えるでしょう。

制作過程がレコード会社との折り合いを付けるための試行錯誤を含んでいそうなことから、その後の評価も微妙だし内容も一貫性を欠くというある意味可哀想な作品ではあるんですが、その分裂気味なところをあえて楽しむかどうか、発売当時は楽しむ気にはなれませんでしたが、今はちょっと楽しめるようになりました。