キング・クリムゾン『On (and off) The Road』『Three Of A Perfect Pair』

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80年代3部作のラストはとてもポップな作品でした。間を埋めるようなアブストラクトなインストと相俟って微妙な陰影を残す出来でもあり、「太陽と戦慄」のパート3もあるというサービス具合。しかしこの先は続かなかった。

ロバート・フリップによく似た天才型の人が会社にいるんですが、一緒に仕事をしているとその展開の早さと独特の思考に周囲がついていけずに、結果的にチームでの成果を残せないというジレンマが生じています。共に働くメンバーの意志を尊重して表面上は自動的に回転させようとするんですが、最終的にボスの意向が強い引力を働かせるため、求心力が薄れてしまう。あるいは短命に終わるという結末を迎えます。その自由度のなさに耐え切れずにスピンアウトしてしまう。でも結局は天才の名が残っていくんですよね、残念ながら。それは仕方ないと思います。それだけ凄い人なので。

80年代クリムゾンの存在意義とは何だったのか。それは70年代やその後のクリムゾンの展開を知る人にしか語れないんだとは思います。ただ、その後デヴィッド・シルヴィアンとの邂逅があって、そのデヴィッド自身が「最近のクリムゾンしか聴いたことはない」と発言していたことからも明らかなように、いわゆるプログレとは異なる文脈で音楽としてロバート・フリップの世界に触れた人が存在した。そこには何らかの意味はあるように思えるんです。

一方で今回のボックスで明らかになる70年代とのブリッジの部分や、その後現在に至るクリムゾンの活動を垣間見るにつけ、時代は繋がっているという実感を持たざるを得ない。表面的に見える職人集団の技を楽しむだけでも充分娯楽性は高いですが、その裏に何を読み込むか。一貫して流れるハードロック的な面持ちがひとつのヒントであって、答のようにも思えます。その辺りはもう少し考えてみたいと思います。

因に今回のボックスのバージョンはボーナストラックも多彩でとても楽しめました。オリジナル楽曲の処理の仕方も素晴らしいと思います。