キング・クリムゾン『On (and off) The Road』『Beat』Blu-ray

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キング・クリムゾンを縦と横から見てみると少し見えてくるものがあります。こうしたバンドは絶対的評価で語られがちですが、深くプログレの求道者として深堀するのがまずは正統。その上で必ず時代の変化には対応せざるを得ないのだから、環境要因による分析が付加される。そんな感じでしょうか。

80年代初頭の他のバンド、音楽自体の流れを鑑みると、当時の音の軽さは主にドラムの音に表現されてしまう。あとはシンセサイザーでしょうか。ただキーボード奏者はいないので、主にドラムに限定されることになります。

ここ最近ずっと通勤時にフランク・ザッパを聴いているんですが、ザッパの80年代にも似たような雰囲気の音があって、ある意味時代的に同期しているなあと感じます。共通点といってもエイドリアン・ブリューが在籍、という話ではなくて、職人集団をリーダーが統率する形式のバンドにおいて、ある程度ギターが主役であった場合の音、そこでのドラムの音色とギターの絡み、そんなところに時代の痕跡が残っている。

もう一点は叙情性の問題でしょうか。80年代クリムゾンに決定的に欠けていたのはこの叙情性で、恐らくはそれがコミカルな雰囲気のフロントマンの所作でどこかに隠れてしまった。そこに旧来のファンは失望したのでしょう。テクニックは最高なのでそこではないし、構築型の音楽なのでそこでもない。

垣間見える狂気を見逃さない。それはやはりロバート・フリップのソロに見出すしかないのだと思います。