まるで恐竜の咆哮のよう。
82年のフランス、フレジャス公演のライブは映像版もこのボックスに収録されていますが、その完全版が音源としてこちらのディスクに収録されました。ここでの演奏はかなり脂が乗っていて、かつ崩れ過ぎていないのでとても良い。
その中でも繰り返しになりますが「太陽と戦慄パート2」と「Red」がやはり出色の出来で、この2曲での演奏は本当に恐竜が吼えているようです。キング・クリムゾンというバンドは恐らくインストで真価を発揮するバンドであって、実はボーカルものは添え物なんじゃないか、と思えてしまう程、ここでの演奏は充実しています。観客の反応もやはり確実に違う。
70年代クリムゾンの再演として演奏される曲目に支持が集まることは80年代クリムゾンにとって不本意かもしれませんが、きっとここなんですね、ポイントは。この2曲にまとわりつくオーラは器楽曲であることと憂いにあると思います。何事にも言えるんですが、この「憂い」の要素がないと楽曲の奥行きは出てこない。何といえばいいか、グッとくる感じ。これが感動を呼ぶんですね。乾いたポップスにはこれがない。
ということで68分、堪能いたしました。