キング・クリムゾン『On (and off) The Road』『The Town And The City』

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やっとラストディスクに辿り着きました。いやあ長かった。19枚組なんて異常ですよね。しかしこんなにまとまって80年代クリムゾンを聴く機会はもう一生ない気もするので、きっちり真面目に聴きました。本当は昨日聴き終わる予定だったんですが、最後のディスクの収録時間が余りにも多くて、二日間を要してしまいました。

最後のディスクはDVDにこれでもかと音源を詰め込んでいて、実質は6枚組に近い。しかもすべてが82年の音源です。これに意味があるのかないのか。多分ないんでしょうが、微妙な年で幕を閉じるなあと感じました。『Beat』発売直後の時期となります。

ずっと見聞きして思うのは、エイドリアン・ブリューが持ち込んだトーキング・ヘッズ的なニューウェーブ要素を旧来のクリムゾンファンが全力で拒絶していたんだなあ、ということ。ここで見せるパフォーマンスは同時代的ではあっても構築済みのブランドにはそぐわなかった。革新していくことがブランドの本質だといっても、プログレにそれは通用しない。

80年代という時代はかくも強烈だったのか。電子化とニューウェーブの波の中で旧来の価値観を貫くことは容易ではなかったはず。しかし、聴く側は70年代の亡霊を求め、演奏者はその狭間に悩む。いや、フロントマンのみが悩んでいた。自らの立ち位置をフロントに立ちながら悩むというのはまるでThe Whoロジャー・ダルトリーのようです。セッションマンにこの環境はきつい。

ということで、結果的に達成したプログラムは人力ポリリズムで、その後の影響や相対的な位置づけは実は『Vrooom』あたりを聴かないと分からない、という結論に至りました。ということはクリムゾンとの旅がまだまだ続くということになります。長い。。