リリースされることを直前に知ったあがた森魚とはちみつぱいの何と新譜！こんなリリースが21世紀に待っているとは誰も予想できなかったでしょう。そもそもはちみつぱいの復活自体があり得ない出来事ですし。
あがた森魚は2020年までの10年間の足跡を意識的に残していこうとしているそうで、確かにここ最近のリリース量は半端ではありません。とてもじゃないけどついて行けないんですが、ここではちみつぱいと一緒に新作を出したとなると話は別です。こんなことは恐らく二度とないだろうと思い、まずは慌てて手にとりました。
で、音の方はというと中心がない。予想通り印象はモコモコとしていて、あがた節の語りとも歌ともつかないいつも通りの歌に合わせてバックに混沌が横たわっている。混沌といっても本当のカオスではなくて、きちんと楽曲としてのまとまりは当然保っています。その上で鳴っている音は遠くから来ているようで、一瞬ライダーズ的でもある。コーラスがそうさせるんでしょう。
生ける伝説みたいな人達が紡ぎ出した今世紀の音は何も伝えないし何にも縛られない。でも確実に残す爪痕は長く活動したプライドと復活を遂げた現役感で覆われていてとても心地良く響いてきます。肩に力が入ってないのがいいですね。
渡辺勝、本多信介、鈴木慶一、岡田徹、といったメンバー達の曲が間に挟まってくるのも楽しく聴くことが出来る仕掛けになっています。
