ピチカート・ファイヴ『女王陛下のピチカート・ファイヴ』

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ボサ・ノヴァ2001』あたりからの引用先が多いのにまず驚きました。元々自己引用は多いグループですが、こんな前の作品を引いていたとは。89年リリースですので90年代直前。ここでは既に90年代に知っているピチカート・ファイヴの姿に変容してきています。

印象としては架空のスパイ映画のサウンドトラックのよう。坂本龍一の新譜もタルコフスキーの架空のサウンドトラック、というコンセプトでしたが、こちらはより作為的、意図的、ポップ。野宮真貴も初登場し、それ以外にも越美晴佐々木麻美子など、既にオールスター状態で代わる代わるキャラクターが登場する様はその後のピチカートを予見するかのようです。

恐らくは自分もミュージックマガジンでの酷評を頼りに初期ピチカートを遠ざけていたのかもしれない。だとしたらこれは勿体ないことをしたなあ、と若干の後悔をしました。その上で、90年代以降の快進撃にギリギリ間に合ったことには安堵しました。そしてその元ネタは既に80年代に準備されていた。やはり驚くべきことですよね。