ニック・ロウ『Nick The Knife』

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いわゆる「捨て曲なし」というアルバムにはそうそう出会えるものではありませんが、このニック・ロウの3rdはほぼそれにあたる希有な実例かと思います。全編に渡って本当にカッコいい。自分は90年にCD化された際に初めて聴いたんですが、まさにめくるめく音のマジックの洪水で、目眩がしそうになりました。

オリジナルは82年リリースということで、デイヴ・エドモンズとのロックパイル解散後のソロ作、ということですが、その勢いが残ったかのようなソリッドで説得力のある演奏で、どの曲にもハッとさせられる部分があります。

中でもラストトラックの「Zulu Kiss」の鳥肌もののギターリフは本当に無敵です。発明といっても良いカッコ良さで、世に知られていないのが嘘のようです。このセンスの良さ。時期的にも才気溢れる絶好調の頃だったんだろうなあ。

このアルバムをカセットに録音して学生時代の友人と一緒に関西へ旅したことを思い出します。何度も繰り返してかけたので、若干飽きさせてしまった記憶がありますが、それから30年弱経ってもまったく色褪せていない。再発が決まった時に、会社の先輩と「この作品は名盤ですよね」と確認し合いましたが、もっともっと聴かれて欲しい良作だと思います。