鈴木博文『Wan-Gan King 30th Anniversary Edition』

 

f:id:tyunne:20181109203738j:plain

 

鈴木博文の1stも30年前かあ。凄いなあ。ということでデラックスエディションとして再発された2枚組。リマスターされた本編に加えてシングル『どん底天使』と当時のライブが1枚目。2枚目はデモ音源です。デモのクオリティも高いなあ。

それにしたって本作の白眉は繰り返し言うように「Early Morning Death」に尽きる訳で、これ以上の名曲はもう産み出せないのでは?くらいの素晴らしい曲が収録されている。「おはようとさよならを車の窓に鼻で書く」なんて歌詞・・。

しかし元々ムーンライダーズの休止期間に暇だから始めて、かつメジャー用に5曲書いて持ち込んだら断られて、みたいな話は初めて知りました。確かにポップな曲と実験的な曲が混ざっている感じはありますが、基本的に2nd以降完璧に詩人と化していくので、1stのポップさ、手作り感は本当に唯一無二です。

どん底天国」もいいなあ。当時アナログのシングルで買いましたが、どうしてもアナログは引っ張り出して聴く機会が減ってしまうので、こうして聴けるのは嬉しい限り。

カーネーションの面々が全面的に協力しているんですが、何せ自宅スタジオなのでドラムがどうしても打ち込みになってしまって、それが宅録感を更に増幅させるという不思議な質感の音楽です。これは初期メトロトロン全般に言えますね。

いい曲一杯の素晴らしいソロデビューアルバム。その後鈴木博文はライブを重ねてどんどん歌がうまくなって、ある意味ライダーズで一番のボーカリストになってしまいました。それもこれも出発点はここにあるということで記念すべきことですね。それが30年前、自分は19歳ですよ。息子より若いじゃないか。凄いなあ、年月って。