『かしぶち哲郎トリビュート・アルバム ~ハバロフスクを訪ねて』

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かしぶちさんが亡くなってもう4年も経つのか・・。あの時は驚きました。その直後に大滝詠一さんの逝去と続いた悲しい年でしたが、その1年後にリリースされたこのトリビュートアルバムはずっと手を出せずにいました。今回やっと手にとって聴いてみると、やはり印象は悲しい。

特にベテランのアーティストのカバーがシンプルでかつ悲しい。矢野顕子細野晴臣ピエール・バルーといったゆかりの人達の音源はどれも天への呟きのようです。その一方、佐藤優介やスカートといった若手のカバーは元気があって屈託がない。この2枚組のなかで一番耳を捉えたのは佐藤優介の「OK、パドドゥ」かもしれません。

ムーンライダーズ名義でのラスト「Lily」もとても悲しい曲。ボーカルはハミングですが、迫ってくる終りの予感は歳をとれば誰しも感じてくるものかもしれません。これを美しいといっていいのだろうか?

ムーンライダーズかしぶち哲郎の1周忌に再結成した際にライブで演奏した楽曲群の方がメジャー感があって、こちらのトリビュートの選曲は若干マニアックな感じがします。それも含めてのライダーズなんだとも思いますが、陰と陽が交錯する不思議な作品集となっていました。改めてご冥福をお祈りいたします。