ジョージ・ハリスン『Somewhere in England』

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年明けはジョージ・ハリスンになりました。先日聴いた一連のダークホースイヤーズの内、唯一入手できていなかった81年作品。恐らくはジョン・レノンへの追悼曲「過ぎ去りし日々」が収録されているのが目玉になっているのでしょうが、実際には散漫な印象の作品です。

何となく漂うエスニック趣味がまずはいただけない。ホーギー・カーマイケルの「香港ブルース」のカバーまであって、まるで細野晴臣かよ、と思ってしまいますが、どうも原因はそれだけではないようで、一度完成した作品をレコード会社がNGにしたという事件が内容に影響を与えていそうです。よくある話ではありますが、こうした話はやっぱり内容に出てしまうんですね。

しかしながら、どことなく漂う薄っぺらい感じはどうもそれだけではないような感じがします。端的に不調だったのはないか。時期的には再度制作に力が入り始めていたタイミングでもあると思いますが、その割りには焦点が定まっていない。この不調を回復させるのはジェフ・リンの登場を待たなくてはなりませんでした。きっと外部からの客観的視点が必要な時期に差し掛かっていたんでしょう。

とはいえ、淡々と紡ぎ出される音の数々に身を委ねるのはやはり気持ちが良くて、折に触れて聴き返したいと思える作品ではあると思います。