折に触れて集めているCKBのアルバムですが、こちらは12年にリリースされた作品です。全21曲の大作で、DVDまで付いている。トータル140分を費やす作品ですが、本当にお腹一杯です。この多作ぶりはどうでしょう。
聴けば聴くほど90年代初頭のオリジナル・ラヴに近い印象を持ちますが、曲によってはピチカート・ファイヴへのオマージュもあって、渋谷系の生き残りのようにも感じます。そこにアジアン・テイストがまぶされて、かつ横浜というアイコンをまとってヤンキー系の雰囲気も漂わせる。このミクスチャー具合は絶妙だし、そこにライブの楽しさ、「笑い」も加わるという豪華さ。本作には堺正章も参加しています。
この多作ぶりは一瞬フランク・ザッパを彷彿とさせますが、やはりちょっと違う。もちろんJBやマイルス・デイヴィスとも違う。何と言ってもバンドメンバーが固定されているのが大きいし、横山剣自身が高圧的支配者でもなくて、とても腰が低い。実はエゴイストであるとは当然思いますが、その表出の仕方が違う。従って分解しない。それは魅力の一つだと思います。
ドラムのカウントが冒頭に入る曲が多いなあ、という素朴な印象も持ちました。これが震災後のCKBの答えだった。そしてまた綿々と活動を続けていて、今も回り続けている。これはやはり凄いことでしょう。我々はその伝説の目撃者なのです。