フランク・ザッパがマザーズ10周年で行ったコンサートを収録したロキシー関連については長らく『Roxy & Elsewhere』のみがその絶頂期の音を伝えて来ましたが、元々収録されていた映像版もやっと世に出ましたし、その前の資金調達用の『Roxy by Proxy』なんていう作品もありました。73年のコンサートなので、もう45年も楽しませている音源ということになりますが、今回その決定版として7枚組のボックスセットが発売されました。リハーサルも含めて、もう全音源が入っているという豪華さで、これ以上の喜びはありません。ここまでしてくれるとは思わなかったなあ。
1枚目は初日の12月９日のコンサート第１部の模様を収録したものですが、ここから既存の作品に採用されている楽曲は一聴したところなさそうです。従って初めて聴く音源となる訳ですが、どの演奏もタイトで完璧です。やはり後半の「RDNZL」あたりの演奏の流麗さ、「Montana」の演奏はこのメンバーでやるとこんなにも締まって聴こえるのか、といった感じで快適に70分強を過ごすことができます。
この時期のザッパが好きな人にとってはまさに夢のようなボックスなんですが、演奏自体がどこをとっても隙のない完璧な熱と技術で覆われていることが何よりも素晴らしいことだと思います。
