フランク・ザッパ『The Roxy Performances』disc 2

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このdisc 2は最高の選曲ですね。冒頭の「Dickie's Such An Asshole」から始まって、初期バージョンの「Inca Roads」から怒涛の「Echidna's Arf」「Don't You Ever Wash That Thing?」、そして「I'm The Slime」「Big Swifty」のメドレーで幕を閉じるというほぼ完璧な流れ。部分的にこれまで様々な作品で味わっていたものがギュッとこの1枚に凝縮されています。

「Dickie's Such An Asshole」は『You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3』に収録されているものとは異なるようですので、これは日にちが違うのかな。「Village Of The Sun」の冒頭のトークが『Roxy & Elsewhere』と同じだったので、それ以降はその日の録音かと思っていたらソロの演奏が違っています。なのでこれも差し替えかと思っていたらドラムのソロの掛け合いは『Roxy & Elsewhere』のまんま、ということでこれはリズムだけ活かしてオーバーダブしたのか?などと思いを馳せてしまう。こんな楽しみ方をさせてくれるなんて、何と贅沢なことか。

「I'm The Slime」「Big Swifty」は『You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 1』のバージョンでした。元々この2曲の存在が際立っていて、それがロキシーの録音と知った時には大いに納得したので、ここでまとめて聴けるというのは本当にありがたいことです。

若干各々音のバランスが異なるんですが、それこそオリジナルの録音ならでは。加工を加える前の状態で楽しめるということで、ここはよしとすべきかと思います。

それにしても「Inca Roads」は元々スローでジャジーな曲だったんですね。後の超高速バージョンの方が刺激は強いですが、オリジナルのこちらのバージョンを聴くと、なぜこんな構成だったのか、なぜこんなボーカルだったのかが合点がいくというものです。改めて発見の多いディスクでした。