バッドフィンガー『Straight Up』

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これがバッドフィンガーの最高傑作ですが、ここにトッド・ラングレンが関わっているというのがやはり誇らしい事実です。決してメンバーと折り合いは良くなかったようですが、このクリアな音像と凝ったプロダクションは唯一無二だし、正直ジョージ・ハリスンのプロデュースの「Day After Day」より「Baby Blue」や「Perfection」の方が出来がいいのは明らかです。

どの辺がいいのかというと、きっとドラムの音のような気がしています。コンプレッサーで音を潰して臨場感を演出し、立体的な音の構築のためのツールとして表面の音たちを際立たせている。72年の作品なのに決して古びないのはこうした音の処理によるところが大きいのではないか。

CD再発前にアナログでバッドフィンガーの一連の作品が中古市場で高騰していた時期に、清水の舞台から飛び降りるつもりで購入した本作は、これまでの最高記録を未だに塗り替えていません。まあ、アナログ自体を今買ってないですが・・。いずれまた戻って行くんでしょうか。昨今の中古屋のアナログ売り場の充実度合いは目を見張るものがありますし。

ということで音質ですが、控えめでありながらも向上していると思います。この渋いリマスターが今後の基準になって行く、あるいはそうなっているのでしょう。ビートルズというのはつくづく影響度が大きいですね。