バッドフィンガー『Ass』

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アップルでの最終作ははっぴいえんどで最後鈴木茂が活躍したのと同じように、ジョーイ・モランドが活躍する作品です。その位、メインソングライターのピート・ハムとトム・エヴァンスが病んでいたのでしょう。悲劇のグループというのはこの2名がその後自殺してしまうことからよく言われる冠文句ですが、本作を聴いていてその兆しを感じるのは壮大に過ぎるラストの「Timeless」くらいです。

バッドフィンガーの話をすると音圧の話ばかりになってしまいますが、やはりここでも控えめかつ上品な処理が施されていて、好感が持てると同時にインパクトは薄め。しかしながら折に触れて引っ張り出して聴くには充分なクオリティを確保したと言えるのではないでしょうか。

しかしCDの時代が終わってリマスターが一段落すると今度はアナログに回帰して再度レコードで音を味わう、みたいな話になるとアナログプレーヤーを買い直して、中古や新作の180グラム盤を漁る、みたいな話になってくる。それは果たしてどうなんでしょう。実際、アナログは処分せずに大量に残っているので、本当に音を味わって聴き続けて行くならそれもありなんですが、何となく違うような気がします。

ではCDとは何だったのか?単なるメディアと言われればそれまでですが、配信のダウンロード販売も終わってしまって聴き放題のサブスクリプションサービスにメディアが代替して行く、というストーリーはちょっと受け入れられないなあ。なんてことを考えながら夜は明けていく訳ですね。