坂本龍一『UF』

f:id:tyunne:20181111081336j:plain

坂本龍一のベスト盤で唯一手を出していなかったのがこの映画音楽集です。映画音楽にはどうしても抵抗があって、本来の音楽作品というより映画作品の添え物のような印象が拭えずにいたのが主因ですが、ここ最近の坂本龍一のピアノ演奏による過去作品の再解釈によって考えを改めました。

やはり作品として個別に主張するものはあるし、実際「戦メリ」のように楽曲自体がトレードマークになってしまうものも多い。「ラスト・エンペラー」「シェルタリング・スカイ」などは皆そうだと思うんですね。

そうなって来ると、やはり一度は身を委ねてみないとなんとも言えません。細野晴臣の書籍『映画を聴きましょう』が常に枕元にあるからかもしれませんが、映画音楽というものに対してそろそろ見方を変える時期に来ているのかもしれません。

で、トータル78分、全20曲の大作に耳を傾けてみると、浮かび上がって来るのは映像ではなくて音楽です。映画自体をそんなに観ないからかもしれませんし、熱心に対象作品を追いかける訳でもないので、入って来るのは音単体でしかない。それが果たしてどれ程の主張をして来るのか。答えは結局メロディにしかないように感じました。