クラフトワーク『3-D Catalogue』disc 2『Radio - Activity』

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「日本でも放射能」ということで、表題曲がこんなにも長生きするとは思いもしなかった75年作品のアップデート版です。

このアルバムはアナログで持っていましたが、その内容のプリミティヴな「怖さ」に自ずと耳は遠のき、ずっと聴かずにいた作品でした。それが一連の原発事故によって再注目され、遂には細野晴臣のカバーやYMOクラフトワークの共演にまで広がってしまうという快挙を成し遂げる普遍性を手に入れてしまった。

細野晴臣自身が「オリジナルはつまらない」と言い切っていたので、実際のところはどうかと聴いてみてもやっぱり地味で怖くて繰り返し聴くにはしんどい作品だなあと感じました。

しかし実際にはこの作品で扱っているのは「放射能」というより「電波」のようなものであり、それはラジオからのニュースのような楽曲だったり、「Antenna」みたいな曲だったりに顕著です。それが転じて「Radioactivity」という形で表面化したものに社会的アイコンが宿った、と考えるのが妥当ではないでしょうか。

結果的に「クラフトワーク=反体制」という印象を強く刻むことになる象徴的な作品になっていると思います。しかし音はちょっと辛いな。