キンクス『Arthur or The Decline And Fall of The British Empire (Deluxe Edition)』disc 1

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再結成を発表したキンクスですが、こちらは50年前、自分が生まれた年の68年にリリースされた名盤のデラックス・エディションです。

09年の再発当時は高くて手が出せませんでしたし、キンクスは相次ぐ再発で多少食傷気味でした。加えてビートルズのリマスター以前ということもあり、モノミックスの魅力に気付いてもいなかった。モノとステレオの双方をリマスターしてリリースしていく取り組みはキンクスのが先だったんですね。

意味があるのかよくわからなかったので端的に手を出さずにいたのが実情なんですが、実際は聴き比べの贅沢さに加え、再発の最終兵器として一連のデラックス・エディションは入手せざるを得ない。ということで、中古屋で目にしたら手を出すようにしています。今回は念願の『アーサー』を手に入れました。

キンクスの場合、この周辺、すなわち『ヴィレッジ・グリーン』『アーサー』『ローラ』あたりの時期がやはりピークで、英国のバンドとしての魅力を成熟味も伴って余すところなく発揮していたのではないでしょうか。だから、当時のシングルも含めてどれも音が極上です。

その上で、まずモノミックスがどうか、と問われるとやはり音が太い。かつ「シャングリラ」みたいな音数が多い楽曲はちょっと音が潰れているような感覚を覚えます。比較的音圧も抑えめで、にもかかわらず耳に迫ってくるのはやはり魅力的だし、ステレオミックスでは聴こえなかった音も若干聴こえてくる。

遂に世に出なかった映画のサウンドトラックとして制作されて、先にリリースされたとあって、諸々曰く付きの作品ではありますが、単純に楽曲に勢いがあるし、映画云々を無しにして考えても良い作品だと思います。