高橋ユキヒロ『Saravah Saravah!』

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1978年という年はYMOのデビューの年でもありますが、細野晴臣の『はらいそ』や坂本龍一の『千のナイフ』、そしてこの高橋ユキヒロの『Saravah!』が出た年でもあって、実は1981年に匹敵する重要な年でもありました。そんな中、小坂忠の『HORO』と同様に、当時のマスター音源が綺麗な状態で発見されたため、ボーカルを録り直したのがこの作品です。

高橋ユキヒロの1stは次作の『音楽殺人』以降に比べてテクノポップ度合いが全くと言っていいほどなく、しかもフランス趣味という独自路線で、位置付けの難しい作品でもありました。収録楽曲もどこかフュージョン風で新しさは感じない。

しかしここでのプロデュースは坂本龍一なので、はっきり言って『千のナイフ』と同じ音が鳴っているし、名曲「サンセット」なんかも入っていて聴き逃しは厳禁。かつ今の声で歌ったことで渋みといより柔らかさが増して、時代を越えているバックトラックに合わせて醸し出される雰囲気は超現在。シティポップという括りに入れるには個性が際立ちすぎていて、ちょっと座りが悪いですが、それでも原点、原石には変わりありません。

YMO40周年にこうした形で華を添えるとは何という贅沢でしょうか。