ゴンチチ『Another Mood + 脇役であるとも知らずに』

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ゴンチチの1stと2ndのカップリング。一番驚いたのはプロデュースが板倉文だったということ。松浦雅也が絡んでいたのは知っていましたが、まさかここでニューウェーヴ文脈の人材が活躍していようとは。2ndなんかはBANANAなんかもいて、もうチャクラからEP-4からPsy'sからと目白押しです。

 

それでも1stの音は非常に心地よくて、まさに無国籍音楽。しかし2ndではちょっと色々と音に凝りすぎていて、この辺りの環境音楽なのかニューウェーヴなのか、よくわからない音の色合いがゴンチチの初期を謎めいたものにしている。というよりちょっと中途半端なイメージを醸造してしまったように思います。

 

しかしなから、80年代初頭にギターデュオという売り出し方の非常に難しいユニットを位置づけて低予算で音源を制作するという苦労が伝わってきて、そこに当てる音がこうした打ち込みの音だったというのも迷いが感じられて微笑ましい。結果、ギターのテクニックが秀でていたからこそ、今ではそのポジションが確立されている。そしてこんなに息の長い活動に繋がった。という意味では初期の迷走は必然ではないにせよ、よくぞ生き残らせた、という賞賛に値するものかと思います。

 

「マルセルでさえも」「修学旅行夜行列車南国音楽」といった今でもライブで演奏する楽曲が含まれていたりするので、とても瑞々しく聴くことができます。