イエロー・マジック・オーケストラ『パブリック・プレッシャー』

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YMO40周年再発第2弾、ということで実は久々にこの『パブリック・プレッシャー』を手にしました。本作はCD再発の時も購入していませんので、アナログ以来ということになります。

 

何故かというと、自分はYMOのライブ盤が余り好きではなかったからです。固定観念というか、イメージとして当時テクノポップとしてはライブ盤は肉感的過ぎる気がして、スタジオ録音盤の構築された世界観から外れてしまうのに違和感があったからだと思います。そのせいで、ずっとYMOのライブは避けてきていました。

 

しかし、潮目が変わったのは世紀が変わってからの再結成で、2007年以降のライブバンドとしての活動から、段々とYMOのライブの魅力に遅まきながら気づいていくことになりました。『L-R TRAX』なんかも手にしたのは大分後になってからです。

 

そういった訳で、この作品も久しぶりにきちんと聴いたのですが、周知の通り契約の関係で渡辺香津美のギターがカットされていて、代わりに坂本龍一のシンセがオーバーダブされている。これが逆にテクノポップとしての印象を強めたと言われています。しかし自分はそうであってもライブ自体には入り込めませんでした。当時ギターの音があったら尚更そう感じていたと思います。

 

元々フュージョン色の強いライブを初期は繰り広げていて、売る側もそうした既存のジャンルに紐づけてまずは導入していったことも考えると、本作における改変は結果オーライなのだと思います。その後の運命が変わったとまではいきませんが、少なくともライブを避けていた自分のようなリスナーもいたので、ある一側面では歯車が噛み合ったのかもしれません。

 

肝心の音の方はというと、もうまるで目の前で演奏しているかのような臨場感があって、特に「コズミック・サーフィン」あたりではバンド紹介のアナウンスから観客の歓声、ドラムの迫力のある音、といった流れが非常に生々しく聴こえました。ただ、本当に久しぶりに聴いているので、今回特にそのように変わったのかどうかは何とも言えませんが。

 

今回聴き直して一番良かったのは「Radio Junk」でした。当時一番テクノっぽくないと感じた曲でしたが、時代を経て自分の感じ方も変わったんだなあとしみじみ思います。ポップでいい曲ですよね。