『NON-STANDARD collection -ノンスタンダードの響き-』disc 4

f:id:tyunne:20190330072720j:plain

やっと聴き終えました。ノンスタンダードレーベルの集大成BOXセット。聴きごたえ、読みごたえがありました。時期的にも、位置づけ的にも曖昧な、ややもすると形のないものになりそうだったひとつのレーベルの歴史を、きちんと時代的に整理してその意味を位置付けた。そんな重要な仕事のように思います。

 

ラストディスクは比較的ビートの強い個性的な楽曲と、デモテープや蔵出し音源といった楽曲が詰め込まれた少しマニアックな内容でした。ピチカート・ファイヴの一連のデモテープ音源を聴いていて、やはり『カップルズ』はきちんと聴かないといけないなあ、と改めて感じています。レーベルを跨いでそこが初期の到達点だったんですね。

 

目玉である細野晴臣の未発表曲「北極」ですが、これはYMOの『BGM』に収録されている「CUE」に似ている、という理由で発表されなかったという話もあります。確かに似ているんですが、こうした当時の細野晴臣のゴツゴツとした感触の曲はとても自分は好きで、むしろ「夢見る約束」や「三国志メインテーマ」のような独特の高揚感があるような気がします。

 

ノンスタンダードはYMO散会後の時代の残り香を勢いで駆け抜けた一種の熱病のようなレーベルかと思っていましたが、終わりには始まりが含まれていて、ここから様々な出発が起こっている。もっとも象徴的なのがピチカート・ファイヴのデビューなのではないかと思います。加えて、当時勢いが勇み足のように感じられていた楽曲群が、時を経てある種の静けさを携えていたことを証明している。そんなことを気付かせてくれた貴重なBOXセットでした。