鈴木博文『ピカソ』

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鈴木博文の新作が出ました。ここ最近の鈴木博文の作品は残り少ない人生の時間を意識して、作品ごとに荒々しい音が鳴らされていましたが、ここへきてやっと柔らかな音が帰ってきた。これはひとえにサウンドプロデューサーで参加しているゴンドウトモヒコの存在が大きいと思います。

 

ゴンドウ自身が演奏するユーフォニウムの温かな音や、サウンド全体に広がるなんとも言えない明るさが、新しい鈴木博文の世界を彩って、とても説得力を増しています。弦楽器の音もいいですね。やはり荒々しくてトンがったものは耳に傷跡を残していってしまうので、今の鈴木博文の役割ではないような気がします。言葉が鋭いので音は柔らかくていいんじゃないか。

 

元々内省的な世界観を持っていた方なので、それが全面化するとどうしても暗くなってしまう。それが味でもあるんですが、そこであえて音像を明るくするのは対照的で正しいと思います。神々しくもある。