ピチカート・ファイヴ『カップルズ』

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87年リリースのピチカート・ファイヴの1st。この頃自分は大学に入学した頃なので、CDプレーヤーを大学生協で購入した記憶があります。きっかけはXTCのCD再発に未発表曲が入っていたからでした。そして、この作品も発売当初は既にアナログが出せないタイミングに来ていた。その後再発でアナログ化はしていたと思いますが。

 

今年出たノンスタンダードのボックスで初期のピチカート・ファイヴは大分フォローできたので、その時点で実は1stでありながらこの作品は初期の集大成であるという認識を持っていました。従って、内容に違和感はないし、以前聴いた田島貴男時代の作品でその後のピチカートの要素が既に出てきていた事実も把握していました。なので、この1stでの路線にも驚きはない。

 

結構エコーがきついな、という印象はあります。また、思った以上にソフトロックだな、という感じもしました。ロジャー・ニコルズバート・バカラック大好き、という感覚。これが出た当初、ここに正当な評価が下されなかったのはよくわかります。リバイバルが早過ぎる。

 

そしてその後は引用天国が続いて野宮真貴の時代になって90年代に加速していく。そんな流れはこの時点では読み切れないし、実際ノンスタンダードのイメージしかなかった自分には届かなかった音でした。それから30年以上。やっと追いつきました。

 

つい先日アナログでリイシューされたばかりなので巷ではまたピチカート熱が上がっていますが、その源流を果たしてどれ程の人が辿っていくのか。決して切断はなく地続きであることだけ伝えておきたいと思います。