ムーンライダーズ『1980.2.23 リサイタル MODERN MUSICの彼方』disc 1

f:id:tyunne:20200229090900j:plain


ニューウェーブ期に差し掛かったムーンライダーズの1980年2月のライブ・アーカイヴ・シリーズです。ずっと手を出せずにいましたが、今回やっと入手しました。

 

『モダーン・ミュージック』の発売が79年10月。『カメラ=万年筆』の発売が80年8月となりますので、このライブはその中間に位置することになります。従って、音の様子はそのどちらとも異なります。蛹から蝶に変わるように、段々とニューウェーブの波間の方へ移行していく。

 

冒頭の「スパークリング・ジェントルマン」から4曲目の「スイマー」までは勢いよく飛ばして行きますが、実質はそこではなくて「スタジオ・ミュージシャン」以降の比較的しっとりした楽曲の方にある。そういった静かな曲がとても力強いんですね。リズム隊が強力で、こうした楽曲が筋肉質に生まれ変わっています。そこがポイントのような気がしました。「バック・シート」から「鬼火」に至る展開も非常にリズム隊がしっかり演奏を支えています。

 

ある意味。活動停止前にライブを繰り返していた2000年代最後の頃、『TOKYO7』あたりのライブの質感に似ているように感じます。ニューウェーブで最新鋭の音にするというよりも、肉感的な演奏力のあるバンドの音、そんな感触を得ました。