ロイ・ウッド『Mustard』

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ロイ・ウッドの75年リリースの2ndが唐突に再発されました。ふと振り返るとCDでは輸入盤でずいぶん前に買って以来、ということに気付いて今回手に取ることにした次第。アナログで手にした当時、このアルバムは随分と聴きましたが、久々にリマスターで聴き直しました。

 

そもそも以前CDで再発された際には、冒頭に同時期のシングル曲「Oh What A Shame」が収録されていて、ラストには何故かウィザードの「Rock'n Roll Winter」が置かれているという謎の仕様で、本編を愚弄しているなあ、と感じていたものでした。今回もボーナストラックは7曲収録されていますが、本編の後なので違和感はありません。しばらく前からこの仕様のようですね。

 

『Mustard』はロイ・ウッドの代表作のように扱われることが多いですが、自分としては以前も書いたように、その次の『On The Road Again』が成熟の極地の傑作と考えているので、世間一般の評価には少し疑問があります。そもそも本作の収録曲は結構マニアックだし、キラーチューンにも欠けているような気がします。それでも内容は格段にカッコ良くて、素晴らしい作品であることは疑いようのない事実ですが。。相対的にどうか、ということですね。

 

「Any Old Time Will Do」なんかは本当にいい曲だし、「You Sure Got It Now」でのリズムが変化する瞬間のスリリングな魅力など、言い出したらキリがないんですが、やっぱりアルバム未収録曲で今回もボーナストラックに入っている「Oh What A Shame」の強烈な説得力には敵わないと思います。これは本当にカッコ良くていい曲。しかもヒットソングに充分なり得る大衆性も併せ持っています。ロイ・ウッドのソロ活動としてはこれがピークの楽曲じゃないかなあ。

 

音質の方は元々フィル・スペクターのフォロワーのようなウォール・オブ・サウンドでくぐもった印象の強いものでしたので、それがクリアになると若干隙間が出てくるような感じがして、果たしてリマスターとしてどうなのか?という感覚もありますが、それでも音の広がりやこれまで聴き取れなかった音があったりするので、興味深く聴きました。きちんと再発してくれたことに感謝しなければいけませんね。