オランダの才人、ベニー・シングスの15年リリース5作目の作品。当時買い逃していて、その後18年に出た『City Melody』は手にしていたので、ミッシング・リンクをまた埋めたことになります。
ベニー・シングスは日本のミュージシャンとの交流も盛んで、『City Melody』ではコーネリアスとの作品が収められていましたが、本作にはceroとの作品がボーナストラックで収録されています。2015年というとceroが『Obscure Ride』をリリースした年ですので、当時の強い音とトリッキーなリズムを内包したキレの良い音楽が鳴っています。これだけでも聴く価値はある。とてもカッコいい曲でした。
本作は全般的に80年代の音を意識したような、美しくも懐かしい感触がそこかしこに散りばめられていて、かつ昨今のシティ・ポップのブームを先取りしたような感覚が漂っています。これはきっと意識的でしょうし、時代の再評価の流れを本能的に察知したんじゃないでしょうか。なかなか見逃せない人ですね。
全体的にいつもながらのメロディの良さもあって、とても良い作品となっています。