ドナルド・フェイゲン『Cheap Xmas : Donald Fagen Complete』『The Nightfly』

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What a beautiful world this will be

What a glorious time to be free

 

ということで、『Nightfly Trilogy』以来、およそ12年ぶりに手にしたドナルド・フェイゲンのソロBOX。きっかけは冨田恵一の書籍「ナイトフライ」をたまたま読み返したことと、本作が2011年にリマスターされているという事実を目にしたこと。及び、『Nightfly Trilogy』が何となく手の出しづらいディスクで、ちゃんと聴くのにはやっぱり集大成のボックスを置いといた方がよかろうと判断したこと。発売から3年経ってようやく入手しました。

 

冒頭のフレーズは「I.G.Y.」からのものですが、恐らくドナルド・フェイゲンを最初に耳にしたのはこの曲だったように記憶しています。とても耳に残るフレーズで、よくカラオケで歌ったりもしました。とてもポップですよね。

 

しかしながら、この『The Nightfly』というアルバムのリズムが主にサンプリングで作られているというのは全くの想定外でした。聴いていると生音なのでとても想像がつきませんが、『ガウチョ』で既に導入されていたWendelというシステムが本作ではWendel2にバージョンアップされて大活躍しているという事実。これには痺れました。

 

音の方はやはり細部にハッとする瞬間があって、音圧は低いながらも立体的で丁寧な音作りがなされています。名盤と謳われるには余りに軽快な、緻密に作られた割には余りに爽やかな、少し薄っぺらいくらいの音像に逆説的に深さを感じます。