ジャパン『Live From The Budokan Tokyo FM, 1982』disc 2

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後半は多彩なゲストが登場します。まずは解散コンサートの際にゲスト・ギタリストとしてツアーに同行した土屋昌巳。そしてデヴィッド・シルヴィアン坂本龍一の共作シングル曲「Bamboo Music」を演奏する際には坂本龍一矢野顕子。更に坂本龍一提供曲の「Taking Islands In Africa」ではボーカルとして高橋幸宏を招き入れます。

 

この一連のゲスト紹介時の観客の声援といったら・・。もうビートルズの来日みたいな歓喜の声が会場を埋め尽くしていますが、当時はジャパンもYMOも女性のアイドルだったんですね。ジャパンはグループ名からしても日本の女性ファンが一気に人気に火をつけたバンドですし、クイーンなんかもそんな感じで人気を得ていった。やっぱり女性ファンはいつだって大事です。

 

この解散ライブが開催された82年12月という時期は、YMOが「君に胸キュン」の制作に入る直前の時期にあたります。YMOは81年で一回燃え尽きて、そこで解散しても良かったんですが、なかなかそうはさせてもらえなかった。そこで活動休止期間に加速しつつあった歌謡曲の世界へのアプローチを自らの作品で半ば自己パロディ的にやってのける方向へ舵を切ったわけです。その個人活動期間の終わりの時期にジャパンとの邂逅を位置付けることができます。

 

ジャパンが覚醒したのはシングル曲の「Life In Tokyo」から。そして続く「European Son」もとてもいい曲ですが、この辺をきっちり後半では押さえてくれます。このディスコ路線というか、ジョルジオ・モロダーから始まるテクノポップの創世記の音の質感がとても初々しく、かつここでもやっぱりミック・カーンのフレットレス・ベースが重要です。グルーヴの底辺を支えているんですね。

 

全般的に退廃的ながらもリズミカルで、かつ英国特有の憂いを持ち合わせたサウンドは永遠。それにルックスの良さが加わるのでもう言うことなしですね。

 

最後が矢野顕子の『愛がなくちゃね』に収録されているデヴィッド・シルヴィアンとのデュエット作品「Good Night」で終わるというのも憎い演出です。素晴らしい時期の記録ですね。当時の記憶が蘇ってきました。ここから38年経っているなんて物凄いことです。