アルヴァ・ノト + リュウイチ・サカモト『vrioon』

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00年代の坂本龍一というのは、03年に『キャズム』、09年に『out of noise』をリリースした他はオリジナル・アルバムとしては目立った活動がなかったような印象があるんですが、実は復活YMOに参加していたり、こういったコラボ作品を多数リリースしていたり、といった課外活動に熱心だった時期ともいえます。

 

自分はそのコラボ作品をずっとスルーしてきたんですが、先日聴いたクリスチャン・フェネスとの作品も良かったし、今回手にしたアルヴァ・ノトことカールステン・ニコライとの02年作品もとても良い出来でした。やっぱり99年の『BTTB』以降モードが変わったんですね。ここからピアノを弾くようになって、その後「音」に着目していく。

 

この作品で流れているのは静謐なピアノの音と電子音の織りなす静かな世界です。ゆったりとした時間に身を委ねることに重きを置くように価値観が変化してから、50年代のジャズやこうした静謐な音楽に目が向くという傾向は昨今加速していますが、これが晩年の所作なんでしょう。耳を突き刺す音楽は体が受け付けない。というより疲れてしまいます。

 

この辺の枯れ具合に当時異を唱えていたYMOファンもいましたが、エレクトロニカの流行を背景にエゴの消えた静かな音楽を奏でていた当時の復活YMOは次の時代の静けさを予感させるものでもありました。その流れの中にこの作品もあると思います。