マーティン・デニー『Quiet Village』

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言わずと知れたトロピカル音楽。YMOがカバーした「ファイアークラッカー」が収録されているアルバムです。59年のリリース。星野源のバンド名の由来でもある「サケ・ロック」も収録されていますね。

 

マーティン・デニーも初めてまともに聴きましたが、細野晴臣の70年代のトロピカル3部作の元ネタになっているのは勿論のこと、ゴンチチの音楽のルーツにもなっていそうですね。以前WOWOWの番組でアーサー・ライマンとも共演してましたし。その際に演奏していたのはこのアルバムの表題曲じゃないかな。

 

ファイアークラッカー」や「サケ・ロック」に顕著な、西洋から見た東洋、誤解された日本のイメージを逆利用してテクノロジーとセットにして提案したのが初期YMOだとして、その前のトロピカル3部作はどうか。このパラダイス志向は現実逃避先として美しくて、しかも異形。これが50年代の末に発生していたこと自体驚きですが、ここに細野晴臣が気付くまでに15年を要した、というのもちょっと驚きです。S-KEN経由だそうですが。

 

ジャズのバリエーションとしてラテンやハワイの音楽を取り入れた音楽があって、その象徴としてマーティン・デニーのような音楽があったのだとすると、それが70年代や80年代に別の形で再解釈されたというのはご本人もさぞびっくりしたことでしょう。ただ「ファイアークラッカー」のカバーについては印税もたくさん入ったので細野晴臣マーティン・デニーからお礼を言われたとのこと。とても微笑ましいエピソードです。