こちらもフィリー・ジョー・ジョーンズとポール・チェンバースのリズム隊によるピアノトリオ作品。ビル・エヴァンスにもこんな作品があったんですね。活動初期の59年録音作品で、チェット・ベイカーの録音終了後に突発的に録音された音源のようです。
リズム隊の演奏はここでもバッチリですが、ビル・エヴァンスの演奏は少しまだタッチが強い気がします。この後にスコット・ラファロ、ポール・モチアンとのピアノトリオが始動して、各々の演奏が同時に主張していくスタイルが確立されて行くので、ここではまだその萌芽は見て取れません。
従来型のハードバップスタイルのソロ回し、とまでも行ってなくてビル・エヴァンスのバックにリズム隊がいる感じ。演奏は勢いがあっていいですが、波のように繊細な、風景に溶け込んでいくような演奏にはまだ遠い、といった感じでしょうか。表題曲は少しその後の傾向が見られるような気がしますが。
フィリー・ジョーのドラムはとても良くって、その躍動感に耳を奪われます。名義としてはBill Evans with Philly Joe Jonesなので、フィリー・ジョーに敬意を表した作品なのかな。