マッチング・モウル『Matching Mole』

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72年リリースのロバート・ワイアットが率いたグループの1st。これは確かスカートのラジオ番組で冒頭の「オー・キャロライン」という曲を耳にしたのが手に取ったきっかけだと思います。

 

その曲自体はとても美しくて良いんですが、やはり初期ソフト・マシーンを脱退して作ったバンドの演奏ということもあり、全般的にはプログレ色の濃い、インプロヴィゼーション主体の音楽でした。まだロバート・ワイアットも事故に遭う前だから、ドラムも叩きまくっています。

 

ロバート・ワイアットはその後、美しい音楽の方へ傾いていったので、実際にはソロ作品を聴いてきた訳ですが、こうした演奏主体のハードな側面はちょっとやはり今の自分の耳には合いません。少しノイジーかな。ジャケットは可愛いのに。

 

メロトロンの音も非常に多くの割合を占めていますが、その辺りもちょっと音が古く聴こえる気がします。昨日聴いたカンの作品が2年後とはいえ未来的に響いたのとは対照的に、ちょっと時代を感じさせる。

 

ロバート・ワイアットは結果的に静かで美しい音楽を奏でる人として存在してくれればいい。その中にちょっと存在する前衛性が前面に出ていた頃の作品を今回確認できた、といったところでしょうか。勿論美しさの片鱗も見え隠れしていたということで。